ひつじ草の忘れっぽノート

ひつじ草って睡蓮の一種のことらしいです。ゆらゆらボンヤリ、覚えることより忘れる方が得意なお年頃、読んだり見たりの備忘録。

『あんこの本』(姜 尚美)

どうも私は洋菓子より和菓子が好きなんだなと自覚したのは、わりと最近です。

姜 尚美さんの、あんこルポルタージュ『あんこの本』(文春文庫)。前半は、あんこの美味しいお店を訪ね歩く。そして後半では、あんこの歴史やら、海外探訪やら。あんこってアジア全体にあるのかと思ってましたが、小豆のあんこは、かなり日本独自のものなのだと、知りました。

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各お店のあんこ、味やにおいは想像するしかないのですが、その色が、多彩で美しくて、食べたくてたまらなくなります。

そう、あんこの色は黒や茶色ではないのよ。臙脂の赤や、葡萄紫や、薄墨色や。ほかの国の言葉では表現できない素敵な日本の色。

著書の姜さん、作る人やお店を営む人、学者の先輩たちに、しっかりと敬意をはらっていることが文章ににじみ出られてて、とても気持ちよく読めました。

いつかおばあさんになったら、ウランバートルでちょっとした和菓子やさんを、一年の半分くらい、したいんだけど、と言ったら『あんことお餅はムリ〜』と、モンゴル人のお嬢さんやらお姉さんやらに、あっさり言われました。まあ、私も作れるわけではないのですから、いいんですが。夢、夢ですね。